【書評】高橋一雄・瀬山士郎・村尾博司・集英社新書「僕に方程式を教えてください」

書評

学校でも刑務所でもない、少年院における教育の可能性とは?
ベストセラー参考書の著者でもある注目の数学指導者と数学教育の専門家、少年院を知り尽くした元法務教官が、改正少年法施行を目前にそれぞれの立場から少年院における数学教育の意味を論じる。
「先生、自分も大学行けますか?」「あ~、もっと早く少年院に来てればよかった!」。
なぜ数学こそが、少年たちを立ち直らせるきっかけとなるのか。
「非行少年」たちの真実と数学の魅力に迫り、可能性のある子どもたちで溢れる少年院の在り方、数学教育の重要性を描く一冊。

https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721208-2

以前の記事のサムネに載せていたこの本をようやく読み終えました。

犯罪者、特に非行少年(男女問わず)って加害者である前に見捨てられ、放置されてきた被害者でもあるんですよね。
だから学問だけに限らず、情緒や身体能力面でも能力が高いとは言えず、社会に出ても前科に加えてその能力の低さ故に社会から排斥されるという現実があります。

その中で著者の方々は少年院にて数学の二次方程式を最終目標に、入院した少年たちに算数ではなく数学を教えていく過程を綴っています。

僕に方程式を教えてください 少年院の数学教室 感想

上の画像は二次方程式の解の公式の証明です。
本に載っていたものですがそのまま持ってくる訳にはいかなかったので、書き写してある程度分かりやすくもしました。
少年院ではここまで教えるそうで、学校でも塾でも意味も分からずただただ暗記させられた私としては、院に入りたいとまでは思わないがこうした丁寧な教育を受けたかったです。

「意味が分からなくてもただ覚えないといけない」教育って落ちこぼれを生み出すという意味ではあまり良くない気がしているんですがどうなんでしょうね?
暗記は必要ですが、意味が伴っていないとすぐに忘れて使い物にならなくなるというのが私の個人的な考えです。

本の終盤で非行少年への厳罰化や「ケーキの切れない非行少年たち」という有名な本に対する反論もあり、非常に興味深く読めました。
私も何度も犯罪をする犯罪者は駄目だと思いますが、一発で人生が詰むような厳罰を科すのも駄目だろうと思っています。

これを読んで気になったら下のリンクから買ってくださると幸いです。

~終わり~

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