【書評】堀江貴文・井川意高・幻冬舎「東大から刑務所へ」

書評

【ホリエモン×カジノで106億円熔かした井川意高の壮絶な人生哲学のぶつかり合い】すべてを失わなければ、辿り着けない強さがある! 大学在学中に起業したライブドアを時価総額8000億円企業にまで成長させながらも、世間から「拝金主義者」のレッテルを貼られ逮捕された堀江貴文。大王製紙創業家の長男として生まれ、幼少時代は1200坪の屋敷で過ごし、42歳で3代目社長に就任しながらも、カジノで106億8000万円を使い込み逮捕された井川意高。二人の元東大生が刑務所に入って初めて学んだ〝人生の表と裏〟〝世の中の清と濁〟。東大では教えてくれない「人生を強く自由に生きる極意」を縦横無尽に語り尽くす。○エリートが辿り着いた〝ムショの教え〟○・人間の嫉妬ほど怖いものはない・「成り上がり」は真っ先につぶされる・裁判官の年収以上の金を動かした人間は全員悪人・ドンペリより運動後の麦茶のほうが美味い・くだらない愚痴を言い合えない環境ほど辛いものはない・刑務所では前を向いてはいけない。後ろを数えろ・すべてを失って初めて、自分らしい生き方が見つかる・夜の独房で「死の恐怖」と戦って分かること・どんな大恥をかいたって、すぐにみんな忘れてくれる・結局、仕事に勝る自由はない・シャバでついたアカは刑務所に入ってキレイに落とせ

https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344984714/

書評の前にまず、堀江貴文氏と井川意高氏の経歴と罪状を振り返りましょう。

・堀江貴文(ほりえ たかふみ)
元ライブドアの社長。
1972年10月29日・福岡県八女市龍ヶ原生まれ。東京大学文学部に入学するも中退し、在学中にインターネット事業会社「オン・ザ・エッヂ(のちのライブドア)」を設立・発展させるものの、2006年の証券取引法違反(ライブドア事件)により裁判で争った末、2011年に懲役2年6ヶ月の実刑判決(求刑懲役4年)を受けた(2013年に仮釈放と刑期満了)

・井川意高(いかわ もとたか)
大王製紙前会長。大王製紙創業家元3代目。
1964年7月28日・愛媛県伊予三島市(現:四国中央市)に生まれ、東京大学法学部・大原簿記学校(大原学園)を卒業。
大王製紙の子会社であった名古屋パルプの社長に就任、大王製紙の家庭紙事業を改善した手腕が評価され、2007年に42歳で大王製紙の第5代社長に、2011年に会長に就任した。
2010年から2011年9月までに大王製紙の子会社7社から最低でも約80億円をギャンブルの為に借り入れ、東京地方検察庁が特別背任罪(大王製紙事件)で起訴、執行猶予なしの懲役4年を受けた(2016年12月に仮釈放、2017年6月に刑期満了)

この本はお2人は東大に入学し、優れた経営手腕を持ちながらも罪を犯して刑務所に入れられた事を振り返る内容となっております(堀江氏は長野刑務所、井川氏は栃木県さくら市喜連川の民間刑務所に収監されていた)

ホリエモンこと堀江氏は時代に打ちのめされた面が非常に強いのでかわいそうだと思います。
ただし井川氏は会社の金でギャンブルしていたので駄目です。
その金は会社に関わる全ての方々のお金であって、私利私欲で何十億円も使っておきながら、刑が確定するまでに返済したからOKじゃないんですよ。

また入ってもいい(意訳)」なんて言葉が出る始末で、しかも調べてみると懲りずにまたギャンブルをやっていました。
これはいけませんねぇ・・・

しかも最初のサブタイトルが「刑務所に入って良かったと思っている」で、自らの囚人番号が2815番で「(ギャンブルのバカラでは)いい数字ではねえな」と脳髄までギャンブルに浸かっている発言でこれはまた失敗するだろうなと思いました。

美達大和氏の本の書評で「ホリエモンの「刑務所なう」「刑務所わず」の方が著者の人間性としての歪みは無くていいと思います」と言いましたが、堀江氏が良心のような立場に見えたので何とか読めました。
そういう意味で井川氏単独著作の「熔ける」はちょっと読む気が湧きません。

厳しいスパルタ教育で歪んでしまったとはいえ、やらかした事の規模が大きすぎるから同情できません。
部下から反乱を起こされて一族もろとも追放されるのは止むを得ないだろうなと思いました。

それで刑務所内での話になりますが、一般社会で優秀な人は獄内でも一目置かれるようで、美達氏の著書でも似たような記述がありました。
2人に面会に来てくれた方も多かったようで、それだけ人望があったという事ですね。

恣意的でトップが変わる毎に運用が変わる獄内の規則も独自の世界で興味深かったです(私は入ろうと思いませんが)
夜9時ほどに寝て朝6時まで何もないという生活は相当辛かったと思います。人間は寝ろと言われてそんな長時間眠れるようにはできていませんからね。
そのような刑務所内でも2人の服役期間中に色々変わったそうで、現在でも受刑者に対して呼び捨てしないようにルールが変更される事が検討されていたりと、これから変わっていくでしょうね。

あまり多くを語るとネタバレになってしまうので、気になる方は本を買って読まれるのが良いかと思います。

~終わり~

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