【書評】中川可奈子・青幻社「チェコ ポーランド ハンガリーのポスター」

書評

ビジュアル文庫新シリーズ創刊!
60~70年代、ポスター黄金期の集大成!
社会主義体制下のチェコ、ポーランド、ハンガリーでは、芸術家が公式な場で自由に表現活動を行うことが許されず、ポスターなどのグラフィックデザインが芸術性を発揮できる数少ない場所でした。

そんな中、1920年から当時最先端であったヨーロッパのデザイン資料を中心に、コレクションの拡充につとめてきた京都工芸繊維大学美術工芸資料館デザインコレクション。本シリーズではポスター、工芸という2本の柱を設け、国内有数の貴重な収蔵品を手軽な文庫サイズでお届けします。

京都工芸繊維大学美術工芸資料館所蔵の映画、演劇など文化的なポスター233点を一挙掲載。想像力を刺激する、独自のポスター文化を堪能ください。

手描きっぽいおおらかなユーモアで、時代をくすぐっている面白さ。

——谷川俊太郎(帯文)

https://www.seigensha.com/books/978-4-86152-594-0/

読んだので色々と感想を言います。

単刀直入に言って面白かった。
ソヴィエトの共産主義による弾圧があったとはいえ、当時の最先端の優れた芸術家らがソ連の支援と指導を受けて作られた数々のポスターは独創的で、現代に通じるものがあるデザインもあり、興味深かった。

しかしその裏で弾圧が無ければ芸術家らはもっと多彩な分野で活動ができていたであろう事を考えると、本書で紹介された優れた作品群は、手放しでは称賛できないものであると考える。

文化・芸術は往々にしてその時代の政治的・社会的制約を受ける。
現代において例えば、決済代行会社の規制によりPixiv Fanboxで運営による審査が始まった事は記憶に新しい。

一部投稿の再公開時における審査協力のお願い|pixivFANBOX公式|pixivFANBOX
いつもFANBOXをご利用いただきありがとうございます。この度、FANBOXでは利用規約・ガイドラインに違反する一部の投稿に対して、再公開する際に運営による審査を実施することにいたしました。この審査でクリエイターは、利用規約・ガイドライン違...

私も一作家である身として、Pixivから修正指導を受けた身として表現の規制というものはすぐそばにあると思っている。

政治的な発言や態度を取る表現者には「おかしな人がいる」のは事実であるが、先述のように社会・政治に無関心であるのならば、ニーメラーの「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」ではないが、いずれ自分らの身にも回ってくるのだろうと考える。

政治と社会が人間の営みの集合体である以上、それに無関心というのは自分自身の事柄にも無関心であるという事である。
そのような人間が作る表現というものは、果たして人の心を打つものに仕上げる事ができるのであろうか?

無関心にならないよう、自戒していきたい。

~終わり~

ご精読ありがとうございました
良かったら短縮URLサービスやIPチェックサービス等も使ってくださると嬉しいです。
同人誌等の出版や、MisskeyサーバーPixiv Fanboxの運用もしているので良ければ見ていってください。
各種サービス維持の為に寄付を受け付けています
書評
スポンサーリンク
シェアする
Administratorをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました