補足記事を11月19日に書きました。
こんにちは。
私はMisskeyというスクリプトを使って「KindWorld」というサーバー(インスタンス)を設立し、それが来月の12月3日で公開から1周年を迎えます。
上記のURLはKindWorldの規約とサーバー一覧です。サーバー一覧に載っています。
それで約1周年という事で、MisskeyでKindWorldを運営してみて得た知見や感想の一部をここで記したいと思います。
もっと詳しく知りたい方は上記のURLから私の同人誌を買って読んでください。
以下から感想や解説を始めていきます。
質問や間違っている所があればご指摘いただけると幸いです。
大ざっぱな感想
まず最初にお伝えしたい事として運営してみた大ざっぱな感想を。
楽しい!けどコストがかかる!というのが1年近くやってみての大まかな感想です。
そのコストというのは大まかに分けて設立時にかかるコストと、維持にかかるコストの2つに大別されます。
それを以下から解説していきます。
設立時のコストについて
これについては皆さんが大まかにイメージしているように、費用面ではドメインとサーバに大別されます。
ドメインについて、これは基本的に1年単位で契約して、1年おきに更新するのが一般的です。
ドメインといっても「.com」や「.net」といった一般的なものから「.jp」といった国を示すもの、「.monster」や「.sexy」といった変わったものもあります。
どのドメインがどんな費用で借りれるのかといった事はレジストラ(ドメインのレンタルを委託されているサーバ会社など)次第ではありますが、会社やドメインについてはある大きな問題があります。
ドメイン取得者の個人情報は「Whois情報」として、インターネット上に公開するよう義務付けられており、原則として非公開にできません。
参考用にYahooドメインの解説ページを掲載します。
ただし一部のドメインだけですが、Whoisの代理公開という方法によってある程度は対策をする事が可能ですし、そもそも個人情報なしでドメインを取得できるサービスもあります(例:Njallaなど)
どのドメインが代理公開の対象になるのか、そもそも代理公開を使えるのかはドメインを借りる業者に聞いてみるのが一番手っ取り早いと思います。
Whoisは専用のページで検索して調べられるので、代理公開が無いと個人情報が筒抜けになるので、そういう観点からそれは現代においては重要な保護サービスでしょう。
登録時に偽の情報を入力する方法もありますが、法的に危険なので私は個人情報の入力が要らないNjallaを選択してドメインを契約しました。
KindWorldのドメイン代は年に約30ユーロ。結構お高い方ですが個人情報保護の観点から見て、やむを得ない出費だと思っています。高いけど。
ドメインの話はここまでにして、サーバの話をしましょう。
MisskeyはCPUが2コア、RAMが3GB、ストレージが50GB以上あれば大体快適に動きます。
他のサーバー設立者・管理者の方の環境も大体そんな感じでした。
NjallaはVPS(仮想サーバ)もレンタルしておりますが、ストレージが少ない上にお高いので他のサーバ会社のVPSをレンタルする事に決めました。
借りたのは旧ソ連構成国にデータセンターがある会社のVPSで、一時期はDMCA Ignored(アメリカのデジタルミレニアム著作権法を無視する)という表記があった所です。
だからといって100%防弾で安全なサーバ会社という訳にはいきませんが、一般的なサーバ会社よりも匿名性があってプライバシーが守られるはず・・・です(念の為に契約前にサポートに聞いてみたりもしました)
その会社はビットコインによる暗号通貨(仮想通貨)による支払いもサポートしており、ミキシング等の操作を適切に行えば匿名でサーバ代を支払えるそうです。
その前にインドにあるHostcartというサーバ会社を契約してMisskeyを運用していたのですが、わずか1カ月で向こうがサーバのデータを消し飛ばすという事故を起こしたので、現在のサーバ会社に落ち着きました(詳しい事は私のMisskey本その2に載っています)
そうしてサーバを契約、ターミナルソフト(私の場合はTeraTerm)を使ってMisskey専用のBashファイルを使って手短にMisskeyをインストールして終わりました。
維持にかかるコストについて
基本的には月々のサーバ代と年1回のドメイン代で最低限事足りるんですが、利用者様が増えていって画像や動画をアップされる方が増えると、それらがサーバのストレージを圧迫していきます。
長期的に運用していくとより高価なサーバを契約せざるを得ず、これは大きな問題となるのは明白でした。
その対策としてMisskeyにはオブジェクトストレージという、安価で大容量のデータを保管する事に特化した技術を用いたサーバを別に契約して、容量を食う上記のメディアデータをそこに保管するという方法でMisskey本体が入ったメインのサーバを容量の圧迫から守る事にある程度成功しました。
同じような技術と機能はマストドン等のSNSにもありますが、Misskeyの方が手軽で設定しやすいようです。
そういう訳で追加でオブジェクトストレージを契約したので、維持費が追加でかかる事にはなりましたが、長期的に見れば金銭面におけるコストの圧縮だけでなく、バックアップがMisskey本体のデータベースだけで良くなり、負担の軽減とリスク分散の観点で安全かつ合理的に運用できるようになりました。
KindWorldは設立経緯がやや特殊なのですが、一般的な論としても言えると思うので、人間関係における管理のコストについてこれから述べます。
サーバーの宣伝をして色々な人が集まってくるとどうしてもコミュニティ荒らしの類や、そうでなくても意見の衝突が発生します。
Misskeyにはそうした事について管理者に通報する機能があり、私はそれに対応します。
基本的に荒らしに対しては凍結やアカウント削除、それ以外では当事者から話を聞いて対応し、その結果に対して告知を出す事もあります。
この辺は個人のプライバシーの問題等もあるのであまり話すべきではないんですが、そういう問題が起きていないか、起きたらどう対応していくのは頭に入れておいて運用しております。
こうした事態について、Misskeyは「モデレーター」という管理者の仕事を代行できるポジションがあり、KindWorldでもそうした方々がいます。
5chのような掲示板でいえば、削除人みたいな立ち位置の方々ですね。
私の不在時に頑張ってもらう方々なので彼らには強く感謝しています。
大体維持についてのコストは他のサーバーでもこういう感じだと思います。
これを書こうとした際に来た質問
Q.今まで開示請求が来た事はありますか?
現時点ではまだありません。
TLを見るのは会員登録とログインがほぼ必須な上に、今の所そういう危険な発言や行動をされる方はいませんから(過去に危うい方はいましたが)
いくら防弾SNSといってもあまり過激な方向に走っていくと、他のMisskey等のサーバーの方々からKindWorldのサーバーごとブロックされたりもする(というか現時点で複数のサーバーからブロックを受けている)ので、そういう過激方針で行くと分散SNSとしての利点がなくなってはいきますね。
Q.共通のブロックリストというのはあるのか
スパムとかサーバーへの攻撃目的のものではMisskey管理者からのコミュニティで「このサーバーは危険」という情報が回ってきた事は何度かありました。
そういうのは明確な害意を持っているので、もちろんKindWorldもそういうサーバはブロックして一切の通信を断っております。
最後にMisskeyのサーバーを立てたい方々へ
防弾じゃないんですが国内のサーバ会社で簡単にMisskeyのサーバーを立てられるサービスがあります。
BashスクリプトでMisskeyが作れるといっても、それでもやはりハードルが高いからこういうのを使った方が賢明かもしれません。後はローカル環境のDockerで試しに作ってみるとかもあります。
私の場合はある程度VPSを使った事があるので海外のサーバを借りてKindWorldを設立しましたが、VPSを使った事ないという方がいきなり立てるというのは費用や言語、サポートの面で厳しいと思うので、まずはサーバについて勉強してからでも遅くないと思います。
あと防弾といっても今まで防弾ホスティングだった会社が防弾じゃなくなったり、そこのスタッフが新しく防弾ホスティング会社を設立したりするらしいので、この辺も非常に難しい所ですね。
こうした事は過去にそういうサーバ会社についての集いで、何かのWikiと呼ばれるWikiの防弾ホスティングのリストをそこの方々にお見せした事があり、「それは正確な情報ではない(原文が消えていたが私の記憶から意訳)」とのご指摘を受けた事があったからです。
防弾ホスティングの流れだけでも複雑怪奇すぎて今の私にはまだまだ理解しきれていない、というのが現状です。
そういう訳で話は長くなりましたが、私やこの記事を踏み台にそれでもSNS設立をやってみよう!という方がいたら何かの力になりたいです。
コストはかかりますが、学べるし楽しいからやれるというのが大きいので。
これから設立しようという方へ、こういう厳しい事を書きましたが応援しています。
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